昨今話題のBRTについて

私が今回、JR東日本が復旧を断念した気仙沼線、大船渡線のBRTを巡検した内容を少々書いてみようかと思います。
地理研ファンなどで発表するものかもしれませんが・・・。
少々長文ですが斜め読みでも構いませんのでどうぞお付き合いください。

BRTや専用道の運行区間なんかはWikipediaとかのほうが詳しく書いてあると思うのでそちらを参照してください。
さて、今回のBRTの不通区間の行く末については①鉄道での復旧、②BRTでの復旧、③路線バスへの転換の3種類があると考えられます。
①の鉄道での復旧を基準に見ていくと、そのメリットは主に、
1、大量輸送(貨物を含む)
2、定時性の確保
3、高速度での運行
4、鉄路の接続による効率アップ
5、(JRでの復旧前提で)運賃が安い
の4点が考えられるかと思います。
この4点について考察したいと思います。
まず、1の大量輸送ですが、過去には京福越前本線の代行バスが輸送不能になった例がありますが、現在BRTで問題なく運行されているのを考えるとあまり関係なさそうです。
また、BRTになってから高頻度運転が実施され、利便性が向上したのでむしろ良くなったとも思います。

次に2の定時性の確保ですが、これにはある程度期待できる面もありますが、BRTの専用道でも達成できますし、国道においても渋滞はほとんどないのであまり影響はしないのかなと感じます。

3の高速度での運行ですが、これが最も大きい点ではないでしょうか?一般道での最高速度は60km/hですが、気仙沼線・大船渡線ともに鉄道での最高速度は85km/hですので最高速度では25km/hの向上が期待できます。
震災直後の2011年3月12日改正の時刻表ですと、大船渡線の気仙沼~盛で最速59分、気仙沼線の気仙沼~柳津で最速53分での運行でした。
現在では大船渡線気仙沼~盛で1時間30分前後、気仙沼線気仙沼~柳津で2時間前後での運行になっています。
また、鉄道では踏切では鉄道が絶対的に優先なので、問題なくそのままのスピードで通過できますが、BRTでは法的には道路交通法で対等な立場となるため減速や一旦停止を余儀なくされます。
さらに、線形の良し悪しで速度も変わってきます。
特に気仙沼線は開業も遅く、線形が良かったため最高速度の差がダイレクトに効いていると考えられます。気仙沼線はトンネルが多く、断面の狭い単線トンネルだとバスだとぶつかる可能性があり、あまりスピードが出せませんが、鉄道ではぶつかる危険がないので最高速度まで出せます。
逆に線形の悪い大船渡線では、専用道を使用するよりも国道や三陸道を使用するほうがスピードが速くなるとも言えます。

4の鉄路での接続による効率アップでは、両路線とも貨物営業は廃止されているため貨物でのメリットはありません。
また、旅客でも既に高速バスへの転換が進んでいますが、現時点ではまだ鉄道での復旧をした際には時間的には鉄道に分がありそうです。
鉄道では仙台~気仙沼2時間、仙台~大船渡3時間。高速バスでは前者2時間50分、後者4時間。
しかし、直通運行しなければ意味がなく不可能に近いかと思われます。
また、現在建設中の三陸自動車道が開通すれば劇的に構図は変化するでしょう。

5の運賃の安さですが、現在のBRTでも運賃はほぼJR時代の物が踏襲されています。BRTでも実現可能と言えるでしょう。
しかし、現在は鉄道の仮復旧という位置づけですが、もし鉄道が廃止されてしまえば大幅な運賃アップの可能性があります。
これは、新幹線の並行在来線問題ともつながるものがありますが、長距離輸送ではさらに競争力が落ちることは必至です。

以上の5点を考察すると、鉄道での復旧は金銭的にまず不可能(と言っても、国立競技場半分の値段ですが・・・。)。
BRTでの復旧は気仙沼線では国道よりも線形がいいため、速達性での効果あり。大船渡線では専用道の線形が国道よりもよくないため、あまり効果はなし。
路線バスでの復旧は運賃の問題あり。

このようにまとめられるのではないでしょうか?

しっかり、結論を述べる必要もあるかと思いますので、あくまでも私自身の意見ですが・・・。
気仙沼線→BRTで復旧。仙台からの高速バスも専用道経由にすれば速度向上も望めるのでは?
大船渡線→路線バスでの復旧。少なくとも、専用道で復旧する意味はあまりない。運賃の据え置きが課題。
と、結論づけられると思います。

ちなみに私の持論ですが、鉄道のメリットとして上記5点の他に、広告塔としての役割もあると考えています。
「駅」のない街は時刻表に載ることはなくなり、各駅の運賃表、時刻表から名前が消えることになります。
特にJRの路線は日本全国で乗り方や時刻表の見方、乗換検索サイトへの登録などのコンセンサスが得られています。
また、全国の駅や旅行会社からその「街」への切符を買うことができる全国共通のネットワーク(MARSシステム)が構築されています。
高速バスでもインターネットから買うことができますが、全国の高速バスを集めた「時刻表」なるものは存在しません(?)し、予約システムもまちまちです。
自分で検索することなく、駅で「~行きの切符が欲しい」と言えば、その切符が出てくる安心感は想像以上に大きいことなのかなと思います。
この問題は少なくともJRが運行するBRTであれば克服できるのかなと考えています。


以上長くなりましたが、今回はこの辺で。

意見なんかがありましたら、どうぞコメント欄へお願いします。
出来る限りお答えします。

文責:部長 江原



気仙沼駅

大船渡線

大船渡線盛駅のBRT終端部(線路は岩手開発鉄道)

気仙沼線


気仙沼線本吉駅跡

気仙沼線

気仙沼線柳津駅

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